しんぼるは松本人志の全力が見られる映画 - しんぼるの感想

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映画レビュー数 5,784件

しんぼる

4.504.50
映像
4.80
脚本
3.50
キャスト
3.80
音楽
4.20
演出
4.00
感想数
1
観た人
1

しんぼるは松本人志の全力が見られる映画

4.54.5
映像
4.8
脚本
3.5
キャスト
3.8
音楽
4.2
演出
4.0

目次

松本人志監督の映像センスが存分に発揮されている

ダウンタウンの松本人志が監督をした2作目です。1作目があまり一般受けが良くなかったのを受けてこの2作目で、より一般受けを外した作品となっています。1作目の反応があまり良くないと、2作目は観客にすり寄った作品が多いですが、松本人志はさらに自分の色を出す方向性をとりました。

そんなしんぼるもレビューなどを見ると散々な言われようで、賛否が渦巻くのはいつもの松本人志らしさですが、あまりにもしんぼるの本質とはかけ離れたものが多過ぎるので、ダウンタウンが好きな私が、しんぼるについての感想を書いていきたいと思います。

まず、しんぼるには一応はストーリーがあるのですが、1人の男が密室から脱出するという、ただそれだけのものなので、ストーリーを楽しむタイプの映画とは思えません。ではどういう視点で、しんぼるを見ればいいのかですが、単純に映像のおもしろさやセンスを感覚的に楽しむものだろうと。

しんぼるは、2つの話が同時に進行していきます。1人の男が密室にいるパートと、メキシコの家族のパート。密室は美術館などでよく見られるホワイトキューブで映画のCUBEから発想したのではないかなどとも言われていますが、アートを意識したようなホワイトキューブパートの色と質感。そしてメキシコパートの荒れた岩肌やなどの茶色の風景とザラザラとした質感。その対比を映像で見せています。松本人志という1人の映画監督が1つの作品でこれほどの映像の対比を見せている、そしてそのセンス。これを見逃すと、しんぼるの楽しみ方は大きく違ってきてしまいます。ストーリーを追っていては、つまらない訳がわからない映画としか見えないはずです。

密室パートの真っ白な空間に蛍光色の物が散乱している映像は、現代アートの映画としても見えます。メキシコパートの本当にあの家族が生活しているかのような部屋の本格感も見事です。後半になると、密室でのアクションと他の世界とのアクションとのシンクロのパートでも、どの映像もセンスが素晴らしいです。

音だけ聞いていていても秀逸

しんぼるは実は音楽や音もとても質が高い映画です。主に密室パートですが、音ボケというか、音を使った笑いが多く、音だけで聞いていても楽しめる映画となっています。1作目の大日本人が松本人志の意図とは違い海外の映画祭に出品させられて困惑していたそうで、2作目のしんぼるでは海外での上映を意識した映画となっています。その為に日本語でのセリフらしいセリフがほとんど無い、サイレント映画風のフォーマットを使ったのでしょう。ここまでの音での笑いは松本人志でも初めての試みだったはずです。そして、劇中に使用されている音楽もセンスが良いものが揃っています。KISS風のバンドが演奏している楽曲のクオリティは、あのバンドを映画から引っ張り出してそのまま楽曲を発表しても良いような、そんなクオリティの高さです。

最後に1人の男がホワイトキューブの密室を抜け出し上昇していくシーンは、映像と音楽と効果音の相乗効果を意識して、あのシーンだけをミュージックビデオにしても良いほど、音楽の使い方が秀逸です。

ずっとダウンタウンのファンですが、以前から音楽が松本人志のウィークポイントだとばかり思っていましたが、しんぼるではウィークポイントだったはずの音楽を見事に使いこなしています。ロックというよりは、トランスやテクノのダンスミュージックのミュージックビデオのようにも見えます。

1人演技がおもしろい

松本人志はコントを作り続けてきている為か、演技にも優れています。ほぼたった1人で1本の映画を見せるというのはかなりのリスクのはずです。それがしんぼるでは、うまくいったようです。

見る前から松本人志が監督するコメディ映画ということで、過剰な演技になることはあらかじめわかっていました。コントのような映画なのだろうと。笑わせることが目的なので、どうしてもいわゆる映画的な演技とは違います。笑いに結びつかないといけないので、笑いを誘うような演技になる為です。もちろん数あるコメディ映画が全てそうではありませんが、少なくとも松本人志が作っていたコントの演技は、しんぼるで見せていたあの演技です。テレビや舞台のコントの枠を大きく超えて、映画のスケールで壮大な1人コントを撮ったのがしんぼるなので、その意味で1人演技が素晴らしくそして面白かったです。

現時点最高傑作

松本人志はこれまで4作品監督として映画を作っていますが、しんぼるが現時点では最高傑作です。3作目さや侍、4作目R100と、以前からそうでしたが松本人志の考えすぎてしまう面が悪いほうに出てしまって、説教じみた映画になっていくのですが、しんぼるは、このとき作りたいものを全力で作ったのが全編に渡ってわかるので、映画が持つパワーが格段に違います。さや侍とR100は一度しか見ていませんが、しんぼるは何回借りたか覚えていないほど繰り返し見ています。しんぼるは松本人志の全力が見られる映画です。

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