わかりやすい善と悪 - 劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィの感想

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わかりやすい善と悪

4.04.0
映像
4.0
脚本
3.0
キャスト
3.0
音楽
3.5
演出
3.0

目次

ジャッキーがイケメンです。

ポケモンレンジャーというかっこいい役どころの職業に加え、身のこなしも軽くて何をやるにもスマートなジャッキー。山寺さんの声もぴったりで、この作品は善と悪とイケメンと全て揃っている、パーフェクトな設定だと思います。外見だけがかっこいいわけではなく、内面もきちんとしています。ハルカがマナフィといずれは世界を別にしなければ、マナフィの蒼海の王子としての役割を果たせないという、ハルカにとって辛い現実を口頭で伝えます。船に乗って海へ航海に出てから、ジャッキーのハルカへの目線がとても気になりました。すぐに言えば情が深くなる前にお別れの準備ができたのにと結果論から指摘してしまいますが、いつ伝えようか、これ以上は不味いという線引きをきちんと見極めていたのだなと、ジャッキーの目線は語っていたと思います。久しぶりにポケモン映画で姿も声も内面も揃ったイケメンが登場したなと思いました。

水ポケモンのサーカス、海の中が綺麗です

サイコキネシスにより溢れることなく形をなす水の中を行ったり来たりする水ポケモンによるサーカスはとても綺麗です。実際のショーではないのに、アニメ映画ですけどとても楽しめます。序盤の短い時間しか見せてくれませんが、大きいシャボン玉の中に入っているような、水の中で人とポケモンが見せるアクロバティックな技は圧巻です。また潜水艦で海に潜るのですが、ポケモン世界ですから当然海の中にたくさんのポケモンがいます。それなのに、アニメとわかっていながら水族館にいるような幻想的な絵が広がって、また少しだけ3Dを使っているようで、動きがちょこっと違うだけで雰囲気が出て、とても綺麗に思いました。海の中の映画はファインディングニモなど見たことがありますが、ゆったりしているからか、それとも日常生活ではあまり見ない光景だからか、絵が少しくらい荒くても気持ちのいいものだなあと思いました。

海賊風のおじさんがTHE悪者

海の神殿に入る様子や、入るための鍵のようなものが雰囲気だけ見てルパンに出てきそうだなあと思いました。古い様式なのに、実は中を開けてみればハイテクで、自動ドアが何枚も勝手に開いていく様子がルパンっぽかったです。神殿で宝を手にすることに夢中で、命の危険があるにもかかわらず逃げようとしない。目的遂行のために行動が一貫しているので、悪者としては完璧なおじさんだと思います。やはりお宝があるとわかると悪い人は集まってきてしまうんですね。どうしてでしょう。歴史とか文化とか伝統とか、戦争などで知らないうちに失われてしまうものもありますし、人間のケア不足でなくなく壊さなければいけないという遺産もあると思います。それらは過去を知るための重要な資料で、とても貴重で、のちの人類にとって道しるべになるかもしれない先祖からの贈り物なのに、どうして大切にできないんですかね。正統派悪役の登場に怒りのぶつけどころがあるせいで、極悪非道の行動に怒りが止まりません。このおじさんは当然痛い目見てほしいですし、しかし、壊された宮殿は元に戻りません。マナフィも傷つきました。この償いをどうするんでしょう。おじさんに比べるとロケット団の三人は良心の呵責があるので、まま可愛いですが、こういった歴史的建造物の破壊はフィクションだろうと腹が立ちますね。この怪力お馬鹿さんめ。

ハルカを救出ポットに入れるサトシさん

毎回毎回問題解決の最善を尽くそうと頑張るサトシの姿はもうかっこよく見えてきましたね。セーラームーン世代でもあるわたしは諦めない姿をセーラームーンから学びました。けれど彼女は痛みから目をそらし、ただ痛々しく立ち向かっていくだけだったなと。しかし、サトシは何が今一番しなければいけないことか考え、それに加えて直感も冴えるため、いい行動を取るんです。その姿が最初はわざとらいいといいますか、主人公を背負っていますと醸し出しているようで、ちょっといけ好きませんでした。しかし、何作ものポケモン映画を拝見しまして、サトシの勇気溢れる行動は的確かつ、行動に移すまでに躊躇がないため誰かが挙手する前に動いてしまってるんですね。そこがもう主人公だからではなく、サトシという少年だからこそできるイケメンっぷりなんだなあと思いました。彼の江戸っ子のような短気っぷりを改善して、子供すぎるような思考と行動が年齢とともに落ち着けば、サトシさんは相当な青年になるんだろうと、心の隅っこで期待しています。

THE悪者のおじさんファントム

声優を務めるのは藤岡弘、さんという事実に、感情に任せて怒ってしまったことを後悔しています。やたらと渋くていい声をしているなあと思ったのですが、まさか藤岡弘、さんだったとは。野生的な怪力っぷりと、結構高い位置から飛び降りても柔らかく着地する身のこなしは藤岡弘、さんだったから出来たことなんだと、そんな阿保なと思うことも納得がいってしまいます。あの体型からでは想像もつかないほど動けるので、指示だけ出す悪いおじさんではなく、自ら動く悪いおじさんなのもなんだか今更好感が持てます。悪いことをしてはいけませんが、悪役らしさを全面に表現してもらえたので、満足です。

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