舐めてかかって泣かされてしまった作品 - 劇場版ポケットモンスター セレビィ 時を超えた遭遇の感想

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舐めてかかって泣かされてしまった作品

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.0
キャスト
4.0
音楽
3.5
演出
4.5

目次

ユキナリがオーキド博士というラストシーン

40年前の世界から「時わたり」で現代へ飛んできたユキナリはオーキド博士で、というのはなんとなく覚えていました。少年時代のオーキド博士がすごいもみあげなので、一瞬記憶が繋がらなかったのですが、ああそう言えばこんなオチがあったなあと途中で見ていて思い出しました。ユキナリはポケモンのスケッチをするのが得意で、絵がとても上手です。ピカチュウとセレヴィの絵はやさしさが込められているようで、今のザックリしているオーキド博士からは想像できません。しかし、博士になっているくらいですから、観察眼は相当なものがあるんでしょうね。ポケモン川柳でいつも大滑りをしている印象が強いですが、少年の頃からの真っ直ぐな気持ちを忘れずに持っている、実は素敵な人物なんだなと改めて思いました。

モンスターボールの仕組み

サトシの使っているモンスターボールはポチッと押せば大きくなって宙に投げれば中からポケモンが飛び出してきます。しかし、40年前のモンスターボールは丸い水筒のようで、キャップを回して手動で開けてあげなければ中からポケモンは出てきません。過去と現在でこれだけ違うんだというポケモン世界のジェネレーションギャップを見て少しだけ感動してしまいました。40年でこれだけの技術進歩があるなんて素晴らしいなと。しかし、もっと言ってしまえば、手のひらサイズの小さなボールにポケモンが収まってしまうなんて、しかも捕まえれば自分の言うことを聞いてくれるようになるなんて、どういう仕組みになっているのだろうと不思議でたまりません。捕まえる人の匂いでも充満させているのでしょうか。匂いを覚えさせて仲間という認識を植え付けているのか。それとポケモン自体もモンスターボール内の居心地はいいということをポケモンアニメが始まってすぐくらいにジョーイさんが言っていたような気がします。まるで四次元ポケットのような世界がモンスターボールの中では味わえるんでしょうか。不思議です。またこの作品内で敵のビシャスはダークボールを使い、セレヴィに悪い心を植え付けます。それもやはりダークボール内に入ってしまうことで電磁波でも流されてしまうのでしょうか。次に出てきたときには悪いセレヴィになっていました。あんなに小さなボールなのに、これだけポケモン、もとい生き物の気持ちを動かしてしまう力があるなんて、この世に存在していたら恐ろしいですね。

タイムスリップからの矛盾点を無視している

わたしはSFに関して詳しくはありませんが、ユキナリが現代に現れたときにトワは40年前に行方不明になった少年だと、よかったと安心して抱きしめています。そしてラストではセレヴィと一緒に「時わたり」で40年前に帰り、そしてトワに会っています。本当であれば、過去から現代、現代から過去に戻ったユキナリと会っていることで、40年前にに行方知れずのままだった少年、という認識はトワにはないはずなんです。ちょっと、ん?と引っかかりはしながら最後まで観たのですが、他の方の感想を調べてみるとやはりこの矛盾に関して詰めが甘いという意見が多かったです。現代のトワの過去がなくなってしまっているのか、それとも過去に戻りはしたが違う時間軸に乗ってしまったのか。するとユキナリと出会ったサトシと出会わなかったサトシ、ついでに言うとピカチュウとセレヴィをスケッチしたオーキド博士と、スケッチしていないオーキド博士が存在するわけで、ユキナリが時空を飛んだことで色んな時間軸のユキナリも一緒にあっちにこっちにと飛んでしまった、ということになるのかな?考えていてちょっとわからなくなってしまいました。映画の中では夢オチのように語られ、オーキド博士は過去にきちんとセレヴィのスケッチを描いていました。それはその時間軸。セレヴィに出会っていない、本当に夢を見ただけのユキナリも存在するということもあり得る。そうでなければ、ラストで過去に戻ったユキナリを受け入れる時間軸が存在しなくなります。ん、でもセレヴィに出会っていないユキナリはその時間軸にいたままになるので、ユキナリが2人存在することになってしまうから、やはり何処か子供の映画でそこまで練る必要はないと思った感が否めません。作品自体は面白かったので問題ありませんが、オーキド博士でした!というラストシーンをドヤ顔で突きつけられたようで、終わってからんーと眉間に皺のよる結末だったなあと思ってしまいます。

パトラッシュ的な終わりかと

セレヴィは力尽き、死んでしまうのですが、なぜかたくさんのセレヴィが時わたりをして集まってセレヴィを助けるんですね。このまま悪に操られて犠牲になった善ということで、生き返らせずに終わってもよかったなあとも思いましたし、命の湖につけて生き返っておしまいでもよかったなあと思いましたが、やはり発想が突き抜けていて、たくさんのセレヴィが現代に来てしまいます。というか、トワは仲間と言っていますが、わたしは思いませんでした。一匹ではないとは思うのですが、あんなにたくさん現れては神秘性もなにも薄れてしまいます。たくさんのセレヴィは死んでしまったセレヴィ本人で、確かこの時代の自分は死んでしまったなあとお得意の「時わたり」で現れたんだろうなと思いました。どちらでもいいんですが、サトシたちがセレヴィの死を悲しんで、悔しくて、悪根絶を固く誓って前に進む方がよっぽどいい終わり方だと思います。しかし、そうなるとユキナリは過去に帰れないため、やはりスイクンもいたことだし、命の湖で回復するのが一番妥当だったと思えてなりません。変にこねくり回したなあと少し残念に思いました。動かないセレヴィにきのみを食べさせようとするサトシに泣かされたのになあ。

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