夫婦で闘病するお話
主婦がガンについて考えなければならないこと
最近でこそ、乳がんの闘病についてブログ公開されておりましたが、私はこのドラマを見るまで、乳がんのこと、闘病への恐怖のこと、闘病中の子供への対応について、考えてもみませんでした。思いだけでなく、実際、すぐに考えなければならない現実がある、新築住宅のローン返済、幼稚園の行事参加、両親への対応など、本当に子育て中の方なら、誰もが考えさせられる作品です。その中で、子育て中のママがやらなければならないこと、幼稚園の行事というのは、思っている以上に日常を奪います。送迎では、毎日顔を合わせなくてはなりません。ただ、日常のことですが、毎日送迎に行けないということは、思った以上に子供は不安になります。遠足やバザー、参観会など、クラス全体で顔を合わせないといけない場面は、月に何度あることでしょうか。幼稚園に通わせたことのない方であれば、到底想像できることができません。しかし、幼稚園への対応で日常を占める割合は、かなり高いものになります。幼稚園の対応は、身内が基本で、可能であるのは両親に頼ることが基本で、お願いする相手は他にはいません。両親にも、現実を一変する出来事となるわけです。
ガンは年齢は関係ない
闘病生活を送ることになった上で、心の底から考えさせられた出来事がもう1点あります。それは、ご主人も肺がんになってしまったことです。まさか、アラフォーでガンになるとは、ほとんど考えてませんでした。それが、夫婦で同時期にガン宣告をうけたということです。自分の現況を考えると目の前にいる配偶者がガンになるとは、到底思えません。しかし、兆候は出ていたのでしょう。健康管理には気をつけていたのかもしれませんが、30代は大病をしないだろうという思い込みから、周りを見ることができなかった、気づいてあげられなかったという気持ちは、さらに妻として夫として、お互い重く感じるものがあったのではないでしょうか。30代で人間ドックをうけているのは約4割です。受診したいと思っている方は8割はいるものの、実際には他人事にしか考えられない世代でもあります。
夫婦で闘病するということ
「ガン友として、一番の理解者になる」二人が導き出したとてもいい言葉でした。お互い抗がん剤で毛髪が抜け、ニット帽子をかぶったりウィッグをつけたり、同じように立ち向かい、子供たちに愛情いっぱい接する場面は、1日でも長く生きてほしい、そう願うばかりのドラマでした。ガン闘病のせきららな気持ちをブログに残し、実写版として公開されたこのドラマは、"本当のことなのだ”とただ思うばかりで、視聴しておりました。その後、夫婦で闘病の末、夫婦で亡くなってしまいました。闘病中は、どんなに頑張っても幼子の記憶に残るのはごく僅かだと思います。両親をなくされたお子様の気持ちは、どれだけ受け継がれているのか、聞きたくても聞けないですが、もし、自分が同じ状況で残せるものがあるとすれば、何があるのだろう、何が出来るだろう、考えても決して結論が出ることはないとおもいます。
キャストについて
このドラマの主人公は吹石一恵さんで、ご本人さまが好きな女優さんだったようです。力強い眼差し、子供を見る優しい目、吹石一恵さんだから、共感できたことが沢山ありました。ご主人役の青木崇高さん、頑張り続けなければならないという大きな器は、とても頼もしい存在でしたし、子供たち役の渡邉このみちゃん、五十嵐陽向ちゃんは、自分の葛藤する気持ちがありながらも、強く生きていく、強く生きていかなければならない姿を心の底から応援したくなる、そんな姿でした。
今でこそ、若年性乳がん、子育て中の乳がんと世間で騒がれていることが沢山ありますが、それを伝えられる一情報として、とても心に残る作品だと思います。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)