サトシの熱血漢は健在です。 - 劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオスの感想

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サトシの熱血漢は健在です。

3.53.5
映像
3.5
脚本
3.0
キャスト
4.0
音楽
3.5
演出
3.0

目次

素直で純粋な白さ=サトシ

勇猛果敢という言葉はサトシのためにあるような四字熟語だなあと思います。劇場版ポケットモンスター1作目のミューツーの逆襲でもお互いを傷つけ合うミューとミューツーの間に立ち、石化してしまうほど自分が痛い思いをすることに鈍感です。痛いは痛いでダメージを受けていると思うのですが、それでも怖じけずに立ち向かっていくメンタリティーは底が知れないなと。大人になってポケットモンスターを改めて観てみると、サトシの凄さがより分かり、そして到底理解できないほどの人物だという認識が新たに加わりました。ちょうどポケモン赤緑のドンピシャ世代なので、子供の頃から知っていますが、当時はサトシはすごいとか、強いとか、そう言った目線で彼を捉えてはいませんでした。それよりも第1話目にピカチュウに舐められてしまうほど鈍臭く、ドジで間抜けで、という印象しかありませんでした。しかし、大人になるとサトシという人物の懐の深さと、人情味の熱いところは見習うべきものがあるなと、久しぶりのポケモン映画に学ばされました。

ラティアスとラティオスの役割

悪いことを思いつく人はそれはそれはたくさんいるでしょう。悪いことを思いつかない人間なんてこの世にはいません、きっと。聖人君子と言われるような人物はごくわずかで、ザンナーとリオンのように私利私欲を満たすためなら悪いことなんてお構いなしにできてしまう人間はゴロッといます。彼女たち姉妹のおかげで心の雫は濁り、世界を滅亡へと導いてしまうわけですが、しかし、それを阻止するために存在するのがラティアスとラティオスです。彼らが力をあわせることで災いはなくなり、そして新たな心の雫が生まれる。災いを治めることが彼らの役割であり、彼らの存在意義はそこにあるのだなあと深く考えさせられました。究極の存在意義が災いから世界を救うことで、そしてその意義があるということは、災いは必ずどこかのタイミングで起こるということ。それはコインの表と裏のように切り離せるものではないというのは悲しいことだなあと思いました。平和であるなら、彼らの真の存在意義は薄れていき、風化しないよう守ってきたカリンたちの一族がいるけれど、伝説ではなく事実だということを知っている人はごくわずか。知らないことの方がいいことだって当然ありますし、真の存在意義なんて、ラティアスとラティオスには不要なのかもしれませんね。もし、災いを治める存在が人間であるなら、きっと治める側の力がザンナーとリオンのように心の雫を濁らせてしまう可能性が出てくるんでしょうね。ポケットモンスター、人間以外の生き物だからこそできる役割なんだろうなと思いました。

声優さんが意外でしたね。

水上レースの前年覇者であるロッシは山寺さんが声優を務めているのですが、見た目の若さと声の渋さがミスマッチで、如何にもこうにも違和感がありました。もう少しロッシの見た目を変えるか、声優さんを変えるかしてほしいなあと、まず第一の違和感はこれでした。そして、映画冒頭からナレーションをする釈さんの舌ったらずな話し方で驚きました。釈さんがポケットモンスターの声優をするなんてどういった経緯でのオファーなんだろうと裏事情をあれこれ考えてしまいました。釈さんは最初はとても堅苦しい、台本を読むだけで役に入り込んでいる感じのしないリオンでしたが、話が進むにつれてどんどんリオンになっていくのが声でわかりました。こころのしずくを手に入れたシーンからノリに乗っているなという印象を受けました。そして、これもまた意外性の強い方が声優起用されているなと思ったのが、ザンナーの声が神田うのさんだということ。これがまたはまり役だと終わったセリフが、ラティアスがカノンのふりをして街を歩いている時に、「その服どこのブランド?」と声をかけた時、ああ、さすがうのさんだと心の中で笑いました。ポケモン世界でもファッションを気にして、宝石好きかは知りませんが、ザンナーとうのさんを重ねて見ることができ、とても納得のいくキャスティングだなあと思いました。二人のやりとりは釈さんと神田うのさんで想像すると違和感だらけで不思議な感じがするのですが、ザンナーとリオンとしてみると、後半からは自然に受け入れられるほどマッチングしていました。意外な声優さんというわけではありませんが、グッチ裕三さんもボンゴレの声を担当されていますが、ボンゴレさんの見た目もグッチさんの見た目も違和感なく、むしろ本人出演か、というほど合っていると思います。

ポケットモンスターの種類

私は子供の頃からのポケモン世代ですが、クリスタルあたりまでしかゲームをしたことがありません。なので、ポケモンの名前や種類など、わからないポケモンがないかだけが正直不安ではありました。きっとポケモンを知らない親世代も子供に付き合わされて映画を見る機会があると思いますが、やはり自分がゲームの世界で仲間として一緒に闘ったことのあるポケモンがいるのといないのとでは感情移入の仕方が違ってくると思います。その点で、このラティアスとラティオスの映画はギリギリで私の知る範囲ないのポケモン世界が広がっていて、安心しました。これ以降の作品は勉強してからでないと世界に張り込むのは難しいなあと実感しました。

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