リアル野球漫画である
既存の野球漫画へのアンチテーゼ
野球漫画って、ものすごいボールを投げるピッチャー、とんでもない打球を飛ばすバッターがたくさん出てきますよね。しかし、この漫画にはそんな奴らはほとんどいない。とっても等身大の漫画。ルールをいかに駆使して打ち取るか、いかに相手を出し抜くかに全集中力を注ぎ込む。それでいて、チームとは何か、勝つとは何かを徹底的に叩き込む新時代野球漫画。
渡久地東亜の契約はワンナウツ契約
主人公渡久地の契約は掟破りのワンアウト500万円、1失点マイナス5000万円という防御率が球界トップでチャラというもの。この漫画の見所は野球以外のところで金の勝負が展開されるところ。球団オーナーの彩川が渡久地を球団の犬とすべくレートを高くしての勝負を挑む。渡久地のウルトラC、非道さに唖然の連続。もちろん契約ルールは破りません。最善の勝ち方の一手を常に見出だし取り続ける渡久地に注目。
サブキャラのキャラが濃すぎる
リカオンズの監督はクチビルデブ、博打狂いのげんさん、いかがわしいビデオで日本語を覚えたムルワカなど個性豊か過ぎるチームメイトたち。彼らの移籍問題やチームの買収など現実のプロ野球を取り巻く問題もたくさん描かれている。また、ライバルチームにもたくさんのキャラクターが登場している。脚だけひたすら速い選手、パワーバカ、サイレントジャイアントなど見ていて飽きさせない。
観客になれる漫画
読み手は球場に来場した最高の観客。客を楽しませるためならどんな手段も厭わない。そんな渡久地の繰り出す策の数々。彩川オーナーも渡久地の給料ばかりに気をとられていると思いきや、チームの観客動員を気にする場面もあるなど人間性豊か。もちろん、オーナー業は最後は「金」。選手をドル箱と考えるのは、まさに経営の本質。知られざるプロ野球の裏側の事情も描かれ、新規参入が難しい理由がよくわかる。
弱小リカオンズは優勝できるのか
野球は不思議なスポーツ。強いチームが必ず勝つとは限らない。ホームランで1点ということもあれば、ポテンヒットで2点ということもある。つまり、1つ1つの動作が平等ではない。弱小チームなりの勝ち方を実践するリカオンズ。渡久地の加入で勝負師へと変貌していく。プロ野球の厳しさ、そして確率論から考える打者の打ち取りかた。球界の宝であるコジマ擁しながら優勝できないもどかしさ。狂った歯車を嵌めにいく渡久地。負け犬となっているポンコツ集団リカオンズはどこまで走れるのか。
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