気になるふたつ
画像がとても綺麗でした。昼下がりのシーンが何度か出てくるのですが、やさしい金色の光でとても綺麗なシーンが印象的です。
自分の人生というのは、誰でも自分中心に動いているとは限らない。なぜ自分だけと思うこともあったが、この映画を見たときに、まじめで不器用な人にも、幸せになる可能性はあるのだと思った。
私がこの作品で好きなシーンは父親に手紙を読むシーンと、最後の二人が会うシーン。
父親は、不器用で口下手で、自閉症を疑われるほどだったが、それでも彼は彼なりに父親を愛していた。表現ができないだけで、心は父をいつも思っていた。それを手紙を読み聞かせたとき、父はただ彼を抱き寄せた。このシーンがすきなのだけれども、なぜ、このシーンのとき父は廊下にベッドを動かされていたのだろうか。
脳梗塞で倒れた父は、廊下に追いやられていたのか。それとも移動の途中だったのか。私は、認知症の介護をしたことがあるので思ったのが、たまにかたくなになることがある。もしかしたら、父親は自分であの場所に痛いといったのではないか。そして、あの廊下にいたのではないだろうか。
もうひとつ気になるのは、最後のシーン。最後は、二人が街中のカフェで会うシーン。ハッピーエンド。最初はそう思った。二人は待ち合わせをしていて、彼女は彼を待っていて、彼は、すでに彼女がいるものとわかっていると思っていたのだが、これは違うということに気づいた。
それはこの映画を2度見たときに気づくのだが、最後のシーンをよく見てみると、彼は、無精ひげにラフすぎる服装で、彼女を目に留めたとき、二度見する。彼女は、彼を目が合ったときにドキっとした目をしている。そして二人は、今、歯車が動き出した!とばかりの表情をする。これは時間としては、5秒ないのだが、しっかりと表現されている。ということは、これは待ち合わせではなかったのではないか。街中で偶然に出会った「偶然なハッピーエンド」だったのではないかと思うのだが、真相はいかに。
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