自殺について、全く違う世界観を突き付けられました。
「暗い映画なんだろうなぁ」と、侮ることなかれ恐らく暗い映画であろうと分かっていて観始めると、流れてきたのは予想外の間の抜けたようなオープニングの音楽。“この先には妙チキリンなことしか起こらないよ”とでも言いたげな雰囲気が漂っていて、ただの暗い映画ではないなと予感しました。自殺したであろう大人の男性の靴と、人生最後に飲んだであろう牛乳瓶の空き瓶を両手に持ってゆっくりと家に帰る主人公の千代(高橋恵子)の様子が、悲しいような、手慣れたような、ほっとしたような、そんな独特な始まりに、いい意味ですでに予想を裏切られました。自殺志願者が集まる場所に住む人たちって、しんどいだろうな『カミハテ商店』で自殺者に最後の晩餐となるコッペパンと牛乳を売る千代と同じように、自殺の名所といわれるバスの終点『上終』に、戻ってくることのない客を乗せる運転手もまた、暗黙のうちにあの世への案内人となっていたある日、店を辞め...この感想を読む
4.54.5
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