ハートフルな旅に出たくなります
旅屋おかえりの魅力♡
売れないアラサータレント、丘えりかちゃん。
「おかえり」という愛称で親しまれていた、唯一の旅のレギュラー番組がスポンサーの怒りを買い打ち切りになります。
売れないタレントに仕事が来るはずもなく、落ち込んだ日々を過ごしていると、事務所に品の良い女性が訪ねてきます。ここから「旅の代行業」がスタート!
旅の醍醐味といえば人の出会い。私もバックパッカーとして世界一周の経験があります。旅に出るのはもちろん歴史的遺跡や美味しいものを堪能するためもありますが、人との出会いが一番の楽しみ。
初めて会ったのに意気投合できる楽しさ、聞いたこともない国の人に出会える新鮮さ、また予想外に優しくしてくれる方もたくさんいて、ひとつひとつの出会いで旅の暖かさが一気に広がります。
おかえりの旅もまさにその雰囲気です。
ちょっとドジな部分もあるけれど一生懸命目の前の景色や食事を味わう姿は、視聴者やクライアントさんだけでなく、現地の人も、TVの制作スタッフにも慕われています。
ビジネスとしてのアイディアが満載!
実際にビジネスとして「代理の旅」ができたら、本当に面白そうだと思いませんか?
行きたくても行けないという方が存在するんだというのが私の率直な感想でした。病室から出られない真弓さんの思いを叶えるためにおかえりが旅をしますが、その動画を見てこんなにハートフルな物語があるんだとあらためて感じました。
これがビジネス化できるのであれば原田マハさんの発想力もすごいです。
また、周囲の人を巻き込む姿もビジネスパーソンとしてできる子なんだなということを感じました。周りの方が応援したくなる姿を見せられることは社会人として大切なスキルです。
来る来る来る!わかっているけど泣いちゃうんです。
原田マハさんが好きな方は毎回泣いてしまうのではないでしょうか?何冊か読んできましたが、もれなく泣いてしまう私。
それはなぜかと考えると、面白いくらいにいろんな事実が交差し出すからだと思います。
鉄壁社長と真理子さんの関係、真理子さんは悦子会長の生き別れた妹の娘だったということ。最初は頑なに拒んでいたみんなの心がだんだんおかえりの力によって溶けていくこと。全てが絡み合って、あの感動の涙を生んでいます。
「悦子おばさまへ
旅をなさいませんか。私の母と娘が安らかに眠る場所へ。
新しい人生を歩み始めた私と、ご一緒に。
真理子」
この4行で涙腺が崩壊しました。切なさとあたたかさが繋がった瞬間。
自分の旅が正しいかということを確かめに、また新しい旅に出たくなる一冊です。
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